『陽だまり』 ※健全

2018.01.07 | | Comments(0) | スレイヤーズ≪ガウリナ≫

「リナは……オレのこと、どう思ってる?」
「へ?あたしの保護者でしょ。自称保護者。あと、くらげ。そんなもんかな」
昼下がりの午後の街道で。リナはただそう答えた。手には先ほど立ち寄った街で買った鶏肉の串を持ち、次々と口の中にほおばりながら。
二人にとっては何の変哲もない平和な日常の時間。リナにとってはそういう感覚だった。







「リナは……オレのこと、どう思ってる?」
「へ?あたしの保護者でしょ。自称保護者。あと、くらげ。そんなもんかな」
昼下がりの午後の街道で。リナはただそう答えた。手には先ほど立ち寄った街で買った鶏肉の串を持ち、次々と口の中にほおばりながら。
二人にとっては何の変哲もない平和な日常の時間。リナにとってはそういう感覚だった。
「そうか……。それでな、リナ、話があるんだが聞いてくれるか?」
「何よ。くらげのあんたにしては随分と、神妙な言い方じゃないの」
「オレは次の街で、リナと別れて行動しようと思うんだ。リナももう子供じゃないんだし、一人旅するとしても前よりは大丈夫だろう?オレは傭兵家業に戻るから、リナも立派にやれよ」
「…………………………は?」
リナの思考が止まった。口に鶏肉を頬張る動きも止まった。
「………………なんで?突然、どうしたのよ」
次に出た言葉はそれだけだった。目の前にうつる、ガウリイの横顔。
前髪がかかった、整った顔立ちと、蒼い眼差し。
「今言ったとおりさ。オレは元々傭兵だったの、覚えてるだろ?いつ切り出そうかと思ってたんだが、そろそろ頃合いかなと思ってさ。リナと一緒にいて、楽しかったよ。ありがとな」
ぽん、とガウリイはリナの頭に手を乗せた。それは彼の癖とも言える、リナへの親愛と、子供扱いを示す行動だった。
だがリナはそれを振り払わずに立ち止まる。
「あたしは…………」
そこで言葉が止まる。
ガウリイは黙って、穏やかな表情で、待っていた。
リナの次の言動を。
「あたしは………」
リナの手から、食べかけの鶏肉の串が落ちた。
それを誰も拾わずに、心地よい風が街道を吹き抜けていった。
「………………ごめん」
リナはぽつりとそれだけを言った。
ガウリイは、
「何が」
「…………わかんないけど、ごめん、ガウリイ」
「……………リナ……」
「あたし、言えないよ。言えないから、だから…………ガウリイは、ガウリイの自由にしてよ。あたし、一人旅に戻るから。もう、ここで別れていいよ。じゃあね」
翔封界(レイ・ウィング)の呪文を唱えて、まさにこの場から空へと、遠くへと飛び出していこうとしたリナを、その腕を掴んでガウリイは止めた。
「待てよ、リナ」
「……………………」
「オレが言うから」
「………………何を?」
「……………もしかしたら……オレが自惚れてもいいなら、リナが言おうとしたことを、だよ」
ガウリイにしては珍しく、搾り出すように、ゆっくりと、彼はそう言った。
リナは俯く。
細い肩が震えていた。
「…………あたしね、ガウリイと二年間も旅をしてたの。もうずっと、あんたと一緒で、いつもあたしの後ろをひっついて、保護者ヅラしてて、鬱陶しくて………でも、本当は……」
「オレは、リナを好きだよ」
「…………………うん」
「リナは?」
リナが顔をあげた。
大きな瞳に、涙をいっぱいに溜めて。
ふるふると、涙が零れ落ちて。
何も言わずに、言えずに、リナはガウリイを見上げる。
ガウリイは笑った。
朗らかに、瞳の色のような、蒼い、青い晴れた空のような笑顔で。
何よりも幸せそうな表情で。
「リナ、オレと一緒にいたいか?」
「…………当たり前、でしょっ」
ヤケクソでリナは言った。
両腕を広げて待つ彼の胸元へ飛び込みながら。
温かい陽だまりのような彼に抱きついて。
今までも、今も、言えなかった言葉の代わりとして。

<終>
2018/09/24(01:25) | Comment:0
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