『大好きな君へ 4』の後日談です
のざちよの2回目H話。

(※性的表現が含まれますので、18才未満の方の閲覧はご遠慮下さい)
佐倉との初めての行為の時に実は『怖い』と感じていたとあとで言われた野崎は、暫くは佐倉の体に触れることを控えるようにしていた。
ふとした時に抱きしめたくなって伸ばした腕は、佐倉の頭を撫でるだけに留めて、それでも我慢できない時は、そっと触れるだけのキスをする。
そういうキスなら怖くないのか、佐倉はいつも照れながら嬉しい顔をしてくれる。

だが幸か不幸か、野崎と佐倉が共に過ごす時間は普段から多かった。
佐倉以外の漫画のアシスタントは三人いて、御子柴、堀、若松が今も作業を補佐している。
彼らが共に部屋にいて作業している間は気が紛れるのだが、佐倉と二人きりになった途端、息がつまるような感覚を野崎は覚えてしまう。

――どんなに忘れようとしても忘れられない、頭から離れないその光景。
佐倉の胸、腰、足、唇、首筋、吐息、そして――。
あの繋がった瞬間の、とても言葉にできない高揚感と満足感。

思わずあの時、繋がった箇所を佐倉に見せてしまったぐらい、野崎は無事に結ばれた時の光景が頭に焼き付いて離れなかった。


「野崎くん、大丈夫?」
不意に声を掛けられて、野崎はハッと意識を現実へと戻す。
見れば、向かいに座る佐倉がすぐ傍で自分の顔を覗き込んでいた。
「……あ、ああ。ちょっと考え事をしていて……。なんでもないよ」
あわてて取り繕うが、佐倉はそれでも心配そうな顔をする。
「でも……野崎くんこの頃ボーッとしていること多いよ?漫画のお仕事で忙しくて、ちゃんと休めてないんじゃないかな?」
そうして佐倉は野崎の額に手を当てた。
自分の額にも手を当てて、確かめながら、呟く。
「うーん……熱はないみたいだね。でも今日はもう休んだほうがいいよ。ね?」
繰り返して言う佐倉の表情は、まるで甘えているようでもあった。
様子がおかしい野崎を心配しているのだと分かるのに、野崎の思考はまったく別の事を考えて、その佐倉の手の柔らかさに、前から言いたくて言えなかったことを口にしてしまう。
「佐倉……今日は、このまま泊まっていかないか?」
「え?」
御子柴と堀先輩、若松は作業が夜中まで続く日が多いこともあって、しょっしゅう野崎の家に泊まっていた。
それを羨ましがりながらまだ一度も泊まったことが無かった佐倉だったが、いざ言われてみると頭に染み込まないのか不思議そうな顔をする。
「でも、私が泊まると野崎くんが気を使っちゃって、休めないんじゃない?お風呂沸かしたり、ご飯作ってくれたりするんでしょう?」
御子柴達から聞いていたお泊りの様子を参考に言っているのか、純粋に遠慮しているらしい佐倉に、野崎は彼女と目を合わせられずにいた。
「……いや、違う。むしろ、逆なんだ。……俺が、佐倉と一緒に寝たいんだ」
「………え?」
驚きで目を瞠った佐倉だったが、次第に頬を赤く染めていく。
正直に言ってしまった野崎は体から力が抜けるのを感じていた。佐倉の返答がどうであろうと、溜めていた気持ちを一つ吐き出せたことは変わらない。
「そっ、それって………」
俯いた佐倉は、言いづらそうにその先を言葉にする。
「……私と、もう一度、シたいってこと?」
「ああ」
躊躇わずに肯定する野崎に、佐倉は弾かれたように顔をあげて、野崎の顔を見つめた。
「俺は、あの日みたいに、また……佐倉を抱きたいんだ。……やっぱり嫌か?」
どことなく苦しそうにしながら、野崎は残っていた理性で佐倉に確認を取る。
佐倉はわずかに目を見開かせてから、野崎へと体を寄せた。
彼の広い肩にこてんと頭を乗せる。
「……嫌じゃ、ないよ。
野崎くん、私の為に我慢してくれてたんだよね?……ごめんね」
体を通して響いてくる声に、野崎はゾクリと背筋が粟立つのを感じて、反射的に勢いよく立ち上がってしまった。
「……あっ、ごめん。……俺が先にシャワー浴びてくるから、佐倉はそのあと浴びてくれ。着るもの、用意しておくから」
軽く突き飛ばされた形となり、驚く佐倉に、我に返った野崎は謝ってから、この後の段取りを口にして返答を待たずに浴室の脱衣所へ入る。
扉を閉めて、息を吐いてから、ずるずるとその場に座り込んだ。
止まらない動悸は今の声の余韻のせいなのか、予想外にすんなりと許可を貰ったことなのか、悩む余裕すらないままに。








風呂に入っている佐倉の着替えを脱衣所に置き、リビングでまだ散らかっていた漫画の道具を片付けながら、野崎は少し考える。
テーブルを隅へ寄せて、布団を二組つなげて敷いて、一人満足げに頷いた。
「お風呂、あがったよー」
空いた時間でテレビを見ていたら、ぺたぺたと裸足で佐倉がリビングへ戻ってきた。
濡れた髪にタオルを被せつつ、
「あ、このお笑い番組、私がいつも見てるやつだよ!」
画面に映る芸人とテロップを見て、佐倉は嬉しそうに野崎の横に座り、食い入るように画面に見入ってしまう。
……テレビをつけたのは失敗だったろうかと思いつつ、明日は学校も休みだし急ぐこともないと気がついた野崎は、タオルを手にとって、濡れている佐倉の頭を拭いていく。
「じっ、自分でできるよ、野崎くんっ!」
慌てふためく佐倉に、
「でも、風邪引くと困るだろう。この番組、見たいんだろう?」
「……う、ううぅ……はい。お願いしマス……」
図星を突かれた佐倉は、大人しく野崎のされるがままとなった。
今は実家を離れて一人暮らしをしている野崎だが、そんなに年の離れていない弟と妹がいる。その世話をよくしていたせいか、佐倉の面倒を見ることにも普段から違和感が無かった。
ただ今は、ブラシで梳いた髪から香る匂いと、時折見える白いうなじに、胸がかき乱されているのを無表情で隠しているのがその心の内だったりする訳だが――。
「終わったぞ」
佐倉から手を離すと、佐倉はやや俯きがちに、
「……あ、ありがとう。その、これ最後まで見ていい?」
とテレビを指して言われ、野崎は立ち上がり、
「ああ、じゃあその間に俺は台所を片付けるから」
と思い出した家事をやりにキッチンへ入った。
……これもある意味、お泊り、か?
皿や茶碗を洗いつつ、何か違うと思いつつも、風呂上りの佐倉が自分の家でテレビを見ていること自体が新鮮で、それはそれで顔が緩みそうになる自分がいることに安堵しながら最後の皿を水切りへと置いた。
「あー、面白かった」
ちょうど番組が終わったのかリモコンでチャンネルを変えつつ、すっかり馴染んでいる佐倉の傍に寄る。
「……じゃあ、寝るか?」
「うん!」
元気よく返事をした佐倉はテレビを消して、ちょうど座っていた下に布団があると気づく。
「あ、敷いといてくれたんだ。ありがとう。じゃ、お休みー」
と布団にもぐった。
そのノリで野崎が電気を消して横に敷いた布団に入ると、数十秒ほどしてから佐倉が起き上がった。
「………って、違ーーーーーうっ!!ごめん野崎くん!私、大事なこと忘れてたっ!」
暗がりの中で、佐倉が叫ぶ。
「……佐倉って、俺のこと、本当は嫌いなんだろう?」
思い出してくれたことに安堵しつつ、不意に思いついた意地悪をこめて訊ねると、
「ちっ、違うよ!ごめんほんとに!はっ、始めよう、野崎くん!」
「始めるって、何を?」
「……………え」
形勢逆転のように野崎は佐倉をイジり出す。
「そ、それは……」
部屋にわだかまる闇で見えないながら、今の佐倉が顔を赤くしていることだろうはよくわかった野崎は、布団から腕を出して、手探りで彼女の手に触れる。
「………おいで、佐倉」
優しく手を引っ張ると、佐倉は躊躇いがちに、野崎へと体を預けた。







「さすがに真っ暗だと何も見えないな……」
「……うん」
暗いと力の加減もできなくなるのだろうか。
思う存分に佐倉を抱きしめるが、佐倉が嫌がる素振りも無い。
佐倉の肩と髪に顔を埋めれば、先ほども感じた香りが強く鼻をくすぐる。
「電気、つけてもいいか?」
服の上から体をまさぐりつつ聞くと、
「……だ、駄目っ!暗いほうが、いいっ!絶対に!」
そう断言されてしまい、野崎は渋々諦めた。
『明るいと恥ずかしいから電気消して』はティーンズ漫画雑誌でも王道の展開だったと思い出しつつ、偶然とはいえ、昼間の室内で行えた前回は幸運だったのだと知る。
「手加減、できないかもしれないから、先に言っとく。……辛くなったら、言ってくれ」
まだキスもしてないのに、体全体で感じる佐倉の柔らかさと小ささに、熱く膨らんでいく欲望を感じながら、言おうと思っていたその台詞を口にする。
戸惑っている気配を感じながら、手探りで首筋に触れて、そこに舌を這わせて軽く唇で吸った。
キスマークは他人から見える場所には容易につけてはいけない、と知識で聞きかじったことを考えつつ。
「……っあの……ん……私っ」
「ん?」
「私、がんば、るから……っ……我慢、しなくていいよ……っ」
息を漏らしつつ、言う佐倉に野崎は動きは止めた。
言葉に詰まってから、再び佐倉の体を撫でつつ、耳元でボソリと囁く。
「今は、我慢してないよ」
佐倉が答える前に、小さな唇を己のそれで塞ぐ。
舌先で唇をなぞって、顎を手で開かせながら強引に舌を差し込む。

一ヶ月前のあの日以来、何度も何度も反芻したその感触。
――そう、これは背徳感なのだと野崎は気がつく。実年齢よりも幼く見える彼女に、いかがわしいことをしたいと思うだけで、何かの罪と罰が押し迫る感覚。
そしてあの日も今も実際に実行しているのだから、自分はきっと、何かの罪人なのだ。
法律では裁かれない、心の中だけにある罪は、甘く強く渦となって、全身が彼女を欲していく。
裁かれないがゆえに終われない葛藤すらも、欲望を煽るだけの材料となるのだと知りながら――。


「んっ……ふ……っぅ」
苦しいのか、くぐもった声が聞こえる。
散々口腔内を舐めまわした舌を引き抜いて、佐倉の服をめくり上げて、鎖骨から胸の膨らみにかけて舌を這わせる。
手で乳房の柔らかさを楽しみつつ、ぷくりと主張している小さな尖りを指の腹で押して、擦って、口に含むと、
「……はっ……ぁ…あっ!」
びくんと反応した甘い声に、口の中のそれを舌で弄んで、強く吸う。
「あ、やっ……ぁ、んっ!」
素直な反応のおかげでどこがイイかよくわかると思いながら、飴を舐めるようにしゃぶって、時折甘噛みをしてから口を離し、もう片方の乳房へとターゲットを移す。
同時に、野崎の体の下で身悶える佐倉の脇腹から腰にかけて手を滑らせて、着替えとして貸したパジャマのズボンを脱がせる。
なめらかな太股を撫でつつ、膝裏に手を入れて持ち上げ、足を開かせる。
内股から尻へと撫でて、ついにそこに指で触れた。
下着越しでも濡れているのがわかって、下着を取り去ってから、直接触れると
「…んっ、ぅ……あっ」
ぬるりと指に纏わりつく液体の温かさに、我知らず嬉しさを覚えて、
「佐倉……気持ち良いのか?」
と囁けば、佐倉が小さく頷いたのがわかる。
素直なのは自分を気遣っているのか、それとも違う想いがあるのか。
判然としないが、ただ一つわかっているのは、自分の我慢が限界に近いということだった。
服を脱ぎ捨てて、闇に慣れてきた目で、棚に置いた避妊具の箱を探す。
袋を破って避妊具を自身に被せたあと、もう一度佐倉の秘所へ触れる。
すんなりと入っていった指の一本で奥を探りつつ、顔を寄せて、花弁を舌先でなぞる。
ぬるぬると指を締め付ける粘膜に眩暈を覚えつつ、出し入れさせて、繰り返す。
内股の肌へも唇を寄せて強く吸ってから、指を引き抜いた。
「ごめん……ちょっと早いけど、挿れるから」
我慢できずに、指の代わりに、硬くそり返っている肉棒の先端を其処へあてがった。
「……うん……っ」
顔を腕で隠している佐倉が微かに頷くのを見て、腰を推し進めた。

「…っは……っ」
避妊具越しにも充分伝わってくる膣壁の感触に息を詰めながら、野崎は奥まで猛りを押し込めた。
さすがに最初よりはスムーズだと思いながら、佐倉を見れば、少し苦しそうにしながらも、その繋がっている場所へと視線を向けていた。
「……ぜんぶっ、入った…?」
「ああ」
なぜ聞くのだろうと思いつつ肯定すれば、佐倉は安堵するように表情を緩めて、こちらへ向かって腕へ伸ばした。
「………ぎゅって、して欲しいの。野崎くんの体、あったかいから…」
野崎は目を瞠って、引き寄せられるように佐倉の体を抱きしめた。
素肌同士が触れて、お互いの鼓動すらも伝わってくる。
「……重くないか?」
これだけ密着していると、どうしても下になっているほうに体重がかかってしまう。
大柄な野崎と小柄な佐倉なら尚更だった。
「重い、けど……大丈夫。それより、裸でこうすると気持ち良いから好きなの。この前言い忘れたんだけど……」
「そうか」
さり気なく相槌を打ちながら、野崎は右腕で体を支えて、少しだけ上体を浮かした。
「……佐倉、無理してないか?」
間近で顔を見下ろして、思わず口にすると、佐倉はぶんぶんと首を横に振った。
「してないよっ。ちょっと苦しいけど……それだけだし、もう痛くないよ」
「……そうか」
気の利いた言葉も言えない自分に歯噛みしながら、素直な彼女に胸の奥が痛むのを感じる。
どうしてこんなに胸が苦しいのかわからないまま、野崎はゆっくりと腰を引いた。
汗ではりついている佐倉の前髪をかきわけて、額に口付けを落としてから、
引き抜いた逸物を再び押しこめる。
「……んっぁ……あっ」
ぎりぎりまで引き抜けば、きゅうきゅうと締め付ける肉壁(なか)に圧されるように抜け落ちそうになり、その狭さをかき分けて突き入れれば、吸われるように中へと誘われる。
まるでその器官自体が意思を持っているようで、『女は怖い』という言葉はこういう意味なんだろうかと頓珍漢なことを考えながら、一定のスピードで腰を動かし続けた。
「んん……あっ、ふ……っぁあ」
喘ぐ佐倉の白い首筋がのけぞる。小さな手は痛々しくシーツを握りしめていた。
首筋に舌を這わして、耳朶を舐めて、唇で挟む。
佐倉の中を味わいながら、彼女の吐息と匂いとが充満する。
左手で彼女の足をもっと開かせて、右手で乳房を揉みしだく。
筋肉ばった自分とは対照的にどこもかしこも柔らかくて、しっとりと汗ばんだ肌が手や体に馴染むように吸い付く。
知識だけで調べてる時にはサイズ的に、本当に挿れて大丈夫かと思っていたのに、実際に挿れてしまえば、彼女の奥深い部分と一体になっている事実に腰を突き動かすことをやめられない。
乳房の先端を指が掠めれば、ピクリと佐倉の表情が揺らぐ。
やはりここかと思いつつ、指で摘んで刺激を与える。
内壁(なか)の潤いが増して、動きやすくなったのを見計らって腰の動きを速めた。
「ふっ、ぅ……っああっ……んぁあっ!」
「…さ、くら……っ!」
下半身が鈍く震える感覚に、さらに幾度も突いてから、一番奥で欲望を解き放つ。
「…ぁ、ふぁああぁあ…っ!」
高い嬌声に、佐倉の中も体も震えて、背中にガリっと爪で齧られた痛みを感じる。
避妊具越しに全て吐き出してから、荒く息をつく佐倉の唇に指で触れた。
呆然と蕩けたような表情で見あげられて、ドクンと胸が高鳴るのを感じながら、思わず唇を塞ぐ。
舌を絡めれば、小さな舌がその動きに応える。
耳奥で響く水音がどこか遠くに聞こえて、最後に軽く唇を吸って離した。
「…のざ、きくんっ……あの……気持ち、よかった?」
躊躇いがちな小さな声に、くらりと眩暈がすると共に、頭の奥で警鐘が聞こえる。
「ああ、もちろん」
即答すれば、疲れた表情がパァと嬉しそうな顔に変わる。
「そっか…、よかった!」
にこにこ笑う佐倉はいつもとなんら変わらないのに、そこに幼さが見られないのは、今が暗い部屋だからだろうか。それとも――。

猛りを引き抜いて、避妊具を捨ててから、次の包みを手に取る。
再び膨らみ上がった欲望が己に命ずるままに。
「ごめん、佐倉」
「?……どうし――」
たのと言おうとしたであろう言葉を遮って、佐倉の小柄な躰をひっくり返す。
「ふぇっ?!」
腹の下に腕を入れて持ち上げ、尻を高く上げさせてから、ぬるぬると濡れそぼる其処へ猛りをあてがった。
「……あ」
小さく声が漏れたのを聞きつつ、後ろからゆっくりと挿入すると、
「……っ……は…っぁ」
ほぐれている秘壁がぴったりと吸いついて、腰から背中にかけて快感が走る。
「のざ、きくん……っ?」
身をよじらせて振り向く佐倉に、膨れる欲望が何を望むのかにようやく気がついた。
「……もっと、声、出して。さっきから、声抑えてるだろう?」
「………え」
奥まで貫いたまま、密着させた腰を揺らす。
後ろから手を入れて、太股の内側をそっと撫で上げる。。
「もっと、乱れる佐倉が見たいんだ。俺の言うこと……聞けるだろう?」
絶句する佐倉に、芯が冷えた思考回路が淡々と言葉をつむぐ。
繋がった場所はこんなにも熱いのに。
「……そんな、の……ムリだよ…ぉっ」
充血している花弁、入口が押し開かれて、歪つな肉棒を銜え込む桃色の秘肉。
はしたなく垂れている愛液は、先程の交わりで中から溢れたもの。
「佐倉なら、できるから。だって……」
それらを指でなぞりながら、繋がった場所のすぐ傍の、熟れた肉芽に触れて、耳元で囁いた。
「俺のこと、好きなんだろう?」
「……ふやっ、ぁぁああ…っ!」
指の腹で押して転がせば、悲鳴のような声に、震える細い腰。
崩れ落ちる体を支え直して、ゆっくりと、腰を引く。
「やだっ……あ、ぁあっっ!」
敏感な其処を指で嬲りつつ、奥まで腰を打ちつけた。
引き抜いて、幾度も貫けば、にちゅぐちゅといやらしい水音が聞こえる。
目の前の、背中からうなじにかけて舌を這わせて、押し付けた腰を回すように動かした。
「んっふ……あ、っあ…やっあぁ!」
耳に心地よく感じる声に、遠慮なく肉棒を突き入れて、後ろから乳房に触れる。
やわやわと弄んで、頂きを指で擦れば、
「…あっ、だ…っおかしく、なっちゃ、うよ…ぉっ!」
佐倉の背が仰け反って、いやいやをするように首が横にふられる。
内壁(なか)をかき回して、奥の奥まで味わって、掴んだ細い腰を揺らして。
何も考えられない恍惚さに意識を攫われそうになりながら、自分を受け止め続ける小さな躰への愛おしさと、言葉にならない苛立ちに、なおさら腰の動きを早めれば、搾り取るように熱い壁が絡みついた。
「………千代…っ!」
「のざ、きくん……野崎くん…っっ!」
名を呼んだのはほぼ同時だった。
震えて痙攣する躰に迸るものを避妊具越しに注ぎ込みながら
佐倉の顎をこちらへ向かせて唇を塞ぐ。
深く貪って、小さな舌も吸ってから、こぼれた唾液が互いの舌を繋いですぐに切れた。







小さくなった猛りを引き抜けば、佐倉の躰がくたりと崩れ落ちる。
徐々に冷えていく頭で、慌てて抱き起こしたら、荒く息をつくのが聞こえた。
「ごめん佐倉、俺……っ」
「だい、じょうぶ…だから……っ」
重い瞼が持ち上がって、ぼんやりと野崎を見上げる。
そして微かに笑った。
「わたし、我慢しないで、って言ったよね…?だから、大丈夫……ううん、たぶん、嬉しいの。だって……」
そこで言葉を途切らせた佐倉は、急に、瞳に強い意志を宿らせたように真剣な顔になる。
「こんな野崎くん、私しか知らないから。野崎くん、私しか、抱かないんだよね?私以外の子と、こんなこと、シないんだよね……?」
「そんなの、当たり前だろう…っ」
佐倉は嬉しそうに頷いてから、俯いて、小さくその言葉を呟いた。
「うん、だから私ね……もっと野崎くんとこうしていたいの。駄目……かな?」
目の前が真っ暗になったように、くらりと眩暈がする。
幼く見えていたはずの彼女の何かが変わってしまったと今気がついたのに、その原因が自分なのだとはっきりわかるのに、無力な自分は、震える腕で華奢な躰を抱きしめるしかできなかった。
「……駄目、じゃないよ。駄目じゃないけど、佐倉、もう疲れてるだろう?だから、明日にしよう。明日じゃなくても、また今度にしよう。な?」
言い聞かせて布団へ横たえようとしたら、ぎゅうと背中に回された細い腕に力がこもるのを感じた。
「でも……、私、ちゃんと野崎くんの、彼女になれてる、のかな…っ……いつも、付き合う前と、そんなに変わらなくて……っキス、してくれても……野崎くんが、私に遠慮してるのがわかって…っ……私、野崎くんの彼女になったのにもっと欲張りになってるって、最近気づいたの。野崎くんが学校で、他の女の子と話してるのもイヤで……イヤで仕方なくて……っ」
ひっくひっくと泣き出してしまった声に、胸の奥の痛みが増していく。
今ここで、自分のもっと奥にある感情をぶちまけられてしまったらどんなに楽だろうと思いながら、そっと佐倉の背を撫でた。
「そんなの、俺だって同じだから。佐倉が俺以外の男と仲良さそうにしてるのを見るたびに、いつも、嫉妬していたんだ。だから、何も変じゃないし、そういう佐倉も好きだよ俺は。」
「……ほんとに?」
「ああ。だから、泣かなくていいんだ。不安にならなくていい……俺は、ずっと、佐倉しか見てないよ」
佐倉が驚いたように顔をあげて、暗がりの中で野崎の顔を見つめる。
「佐倉もずっと俺を好きだったんだろう?」
何度となく聞かされた事実を口にすれば、大きな瞳をパチクリと瞬かせてから、力が抜けるように野崎の胸の辺りにもたれかかった。
「……私ね、好きって気持ちは、もっと楽しくて明るいものだと思ってたし、一年前から野崎くんのそばに居られて、野崎くんのことを沢山知れて、とても幸せだったの。なのに、今は……どうして、こんなに苦しいのかな。野崎くんのことが嫌いになったわけじゃないのに……」
いつも明るく笑って自分を和ませて癒してくれた佐倉に、こんなに寂しげな顔をさせているのは誰のせいなのだろうか。
ここはどう考えても自分なのだろうが、佐倉への接し方を付き合う前とは極端に変えられなかったことは致し方なかった上に、むしろ、それまでのただの友達の枠を越えていた仲の良さが今になって自分たちの仲を邪魔しているのだとは、たとえ本人達でも口に出すことは躊躇えた。
だが、今ここから、引き返す道のりを選択することだけは有り得ない。
それだけは、絶対に。
「……やっぱり、さっきの続きをしようか。佐倉、あと一回なら大丈夫か?」
「え?」
突然言われて、佐倉は少し首を傾げる動作をする。
「あ、うん、大丈夫だけど……」
意味が分かったのか頷いた佐倉の柔らかな頬に触れて、そのまま首筋へと手を滑らせて、小さな後頭部を手で支えながら顔を寄せて口付けをする。
抱き合えばしっとりと肌が吸い付いて、足の間の秘所を指で探って、びくんと震える躰を腕に抱いて再び奥まで貫いた。


――どうせ後戻りできないのなら、欲望のままに彼女を汚してしまえばいい。
汚して、乱れさせて、もっと淫らでいやらしくなって、はしたなく声をあげて、俺をくわえこみながら鳴いて喜ぶ様で俺を楽しませてくれればいい。
そうして俺と同じところまで堕ちてきてくれたら、俺は、今よりもっと佐倉を愛せるのだろうか。
これ以上なく愛しているつもりなのに伝わらないならば、俺は、佐倉を壊してしまいたい衝動をいつまで抑え込めるかわからない。













胸の奥の痛みは、『ごめん』と言葉をつむいで、穢れた欲望の澱にまみれて消えていく。

幾度も抱いたあと疲れて眠る佐倉の瞼にそっと触れて、白み始めた東の空に部屋が明るくなっていくのをぼんやりと見ながら、自分の目尻から頬にかけて、伝い落ちていった雫がなんなのか野崎はわからなかった。
2014/10/17(05:15) | Comment:0 | TrackBack:0
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