書こうかどうしようか迷ったけど、
愚痴への反応高いし、
個人的な意見や推測を書いてもいい時期なのかなぁ、と…


十二国記の続編がこれだけ待ち望まれている理由は
2001年4月15日に発売された『黄昏の岸 暁の天』の終わり方がブツ切りだったからですよね

陽子達の尽力によって蓬莱から助け出された泰麒は麒麟としての力を失い、使令もなく、さらに李斎は武人なのに右腕が無い。
その二人だけで、あれだけ李斎が言葉をつくして説明していた、安全とは程遠い混沌と荒廃に満ちた戴国へと、向かう。

驍宗が本当はどういう状態にいるのかもわからない。
阿選が何故謀反を起こし、ここまで惨くてひどい状況を戴国で作り出したことへの、阿選なりの理由すらも、明確には判明されてない。

はっきり言っちゃうなら、『黄昏の岸 暁の天』で散りばめられた謎や伏線が多すぎた。
しかも、それらの大半は戴国に関することです。


『黄昏の岸 暁の天』は、李斎が慶国の景王陽子へと助けを求めに来るシーンから始まります。
そこから大雑把に言うと、全ては李斎の目線から見た、李斎の口から語られた、戴国の状況を、とつとつと聞かされ続けます。
そして、とにかくなんとかして欲しい、と。

さらにその場へ延王と延麒もくわわって、今度は、「覿面の罪」の存在について語られます。
十二国世界のルールとして、他国に干渉してはいけないのだと。
陽子はそれに怒り、周りはうろたえ、結果的に出来る範囲でみんなで戴国を救おう!ってことになり、泰麒の捜索、蓬莱への大捜索が始まります。
いろいろあって泰麒は助け出されます。

そう、ここなんです。

「い ろ い ろ あ っ て 泰 麒 は 蓬 莱 か ら 助 け 出 さ れ 、 十 二 国 の 世 界 へ と 連 れ 戻 さ れ た 」

ここです。ここが大事なポイントなんです。

本当は、『黄昏の岸 暁の天』は、ここで終わるはずなんです。このシーンで、終わらなきゃいけなかった。

それは、そもそも十二国記シリーズの始まりとなった一冊目は、『魔性の子』なんです。
『魔性の子』は講談社版ではまるで番外編のように扱われてましたが、小野先生が十二国記の世界を書き始めたときの最初の一冊目がコレだったってのが大きなポイントです。

『魔性の子』は『黄昏の岸』の裏側であり、逆に、表側でもあります。

現代日本の世界へと紛れこんでしまった異世界の人間である高里要の周りでホラーとしか呼べない不可解な現象がおき続け、教育実習生の広瀬はそんな高里要に興味を持ち、高里の記憶が呼び戻されていく過程を見、記憶が戻って海へと向かう高里へ「俺もそっちの世界へつれてってくれ」と叫ぶ。広瀬目線のストーリーですね。

『魔性の子』の最後のシーンと、『黄昏の岸』で延王が泰麒を助けるために蓬莱へ渡るシーンは、とても綺麗に繋がっています。何の差もありません。泰麒捜索のために蓬莱へ何度も行く廉麟と、たくさんの使令たち。この描写も、『魔性の子』と『黄昏の岸』で微塵の差もでることなく、二つの世界から見た描写がされているんです。
これは本当にすごいことなんです。

『魔性の子』発行から『黄昏の岸』発行までには約10年の期間が空いています。

『魔性の子』で張られた伏線をここまで綺麗に回収しきったことが、『黄昏の岸』の価値の高さ、面白さ、凄さだと私は思っています。
だから私は『黄昏の岸』が大好きです。本当に。



そして、そこから先ですよね。そこから先が、大問題となってしまったんですね。結果的に。

『魔性の子』は現代世界の話ですから、高里(泰麒)が現代世界からいなくなれば、ストーリーは終わりますが、『黄昏の岸』は十二国世界の話ですから、ただ泰麒が連れ戻されただけでは、話が終わらなかった。
さらに、李斎がいるんです。李斎が望んだこと、語ったことは、泰麒の救出だけではありません。
阿選のせいで、滅びかかっている戴国を、救わなきゃいけない。
どこかに囚われているのか、それともどこかに隠れているのか、まったくもってその行方も状態もつかめない驍宗とも、泰麒と李斎は、これから再会しなきゃいけない。

最初に説明しましたが泰麒は角が無くて麒麟の力がありません。使令がありません。
李斎は右腕がありません。

こんな二人だけでどうやって、それを成し遂げるんだと!!!!!!笑

誰もがそう思うんですよね。これ。

陽子達と延麒が二人を助けようにも、「覿面の罪」のせいで、できることが限られてる。
こっそり出発しようとしてた二人に、騎獣と旌券と金を貸すことだけ。こんだけ。

もうこれは、ギャグなのか!!!!笑

ストーリーがここで終わってるって、逆にすげーですよ。
冷静に考えたら、延麒か景麒の使令が隠遁して二人についてってるんでしょうけども、「覿面の罪」云々のせいでその使令たちもどこまで動けるのかよくわかんねーよ!!!!笑

二人の命を守る、ぐらいかなぁ……。
使令が隠遁してるかどうかすらも確定じゃないし……。


まあそりゃ、こんなとこで終わってたら、誰だって続きが読みたくなりますよね。
ねぇ。そりゃねぇ。そうしてねぇ、もうね、13年経ってる!!!!!!笑

13年待つ読者が山ほど、それこそ山ほどいるってすごい。


私が十二国記知ったのは2003年だから、正確には11年待ってますが、
私はとっくに諦めてましたね。新装版出る前の話ですが。
「こりゃ続編なんて出るわけねぇわ」って思ってましたよ。
難易度が高すぎる。ハッピーエンドもバッドエンドも、この続きって、めっちゃくちゃ難しいですよ。

私が書くのは二次創作小説ですから、細かいことすっとばしても矛盾してても設定おかしくても何も言われませんけども、小野先生は原作者ですもの。
こんなプレッシャーで書けっての、キツイでしょう。
だから書かなかったんだと思いますよ。続編は。
今も、たぶん、もし現在に進行形で本当に書いてるとしても、すげぇキツイと思いますよ。書く作業が。

ただの推測ですから、間違ってるかどうか知りませんけども、小野先生が苦しんでるのはわかります。「黄昏の岸暁の天」の続編に関して。

書き手ってね、基本的に嘘つきなんですよ。
想像や妄想を文章にしていく作業って、たくさんの嘘をつく作業なんです。

だからキツイんですよ。それらたくさんの嘘の整合性を、最後にまとめなきゃいけないから。




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追記

私は個人的には『黄昏の岸 暁の天』すごい好きです。
上にも書いたけど。

『黄昏の岸 暁の天』はそれまでの既刊と違う、新鮮さがあったと思います

十二国記の世界はファンタジーでありながら、現代世界と『蝕』を通して繋がってることになってます
『蝕』を行ったり来たりすることで、海客の人がいて、胎果の人がいる。
メインキャラクターである、泰麒、陽子、尚隆、延麒が4人とも胎果だから、読者はとても感情移入がしやすい。

『黄昏の岸 暁の天』の大きな特徴の一つは、天帝に近い位置にいる西王母が実在していて、陽子達の前に実際に姿を現したことです
更にその西王母に対して、ただの人に等しい李斎がああいう発言を直接ぶつけたのは、それまで絶対無二の存在だった天帝の立ち位置を、大きく下まで落としている。
民よりも王よりも遥か上にいる天帝は、実は絶対的な存在ではない、と。
戴国の惨状のように、天だって間違えることはあるのだ、と。

これはこれで面白い展開なのですが、「そもそも天帝ってなんなの!?」と、戴の民である李斎がキレてしまってるように、陽子も尚隆も延麒も泰麒も十二国の人々全てが、びっくりするぐらいに世界全体の理不尽なルールに縛られてきたそれまでの描写と天秤にかけたときに、非常に危ういところまで傾けてしまったと思います。
セーフかアウトかと聞かれたら、たぶん『アウト』です。傾け方が。
でもそこはやはり小野先生の実力ですから、『黄昏の岸 暁の天』の全体的な完成度が異様に高いことで、そのあたりは非常に綺麗にごまかした。
誤魔化したって表現もおかしいくらいに、『黄昏の岸 暁の天』の中だけでは、問題なかった。

だからこそ続編で、この「天帝は絶対的な存在ではない。間違えることだってある。だって天帝は実在するから」という部分が、非常に邪魔になるのではないか、と。

逆に言うなら、『黄昏の岸 暁の天』の上下巻がもしも無ければ、その後の続編はあったのかもしれない。『図南の翼』のようなノリで。

でも『魔性の子』でこのシリーズが始まったわけですから、『黄昏の岸 暁の天』も存在しているわけですね。
結果的には『黄昏の岸 暁の天』が無事に発行されましたし。『図南の翼』から5年後に。




……えーと、私もだんだん混乱してきましたが(笑)、『華胥の幽夢』の短編はどれも完成度高くて好きなんですけど、『帰山』で利広達が言ってたことが、『黄昏の岸 暁の天』と同じような方向性でしたから(「妖魔の世界のほうで何かあったんじゃないか」とかなんとか…)、読者としてはやはり、そういう展開で期待しちゃってるのも大きいです。

王が斃れた巧国の妖魔の数が多すぎる。まだ王が死んでないのに、泰麒と泰王が所在不明な戴国も、妖魔がわきすぎ。荒れすぎ。

こういうあたりの伏線も、どうなるのかな~、と……。

花のような形に国があって、国が配置されてて、十二国記の世界は、まるで誰かが作り上げた箱庭のように示唆されつづけてますよね。

その箱庭崩壊なのか。それとも違うのか。その崩壊のスピードをあげるための、陽子の存在の必要性なのか。

いろいろと期待があがりきってますね……。



うーん。十二国記は普通に二次小説書くのも疲れますけど
こういう考察書くのも疲れるんですね。
しかも記憶に頼って書いたので、細かいとこ違ってたらツッコんでください。
2014/05/20(21:02) | Comment:0 | TrackBack:0
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